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病室には、横たわったままの老人と少年、そして看護士と、隠れている瑠璃の四人が残された。やがて看護士が、モニター画面のスイッチを押した。すると電子音が止んだ。
「音、消しますね。装置は作動してますから。……先生を呼んできます。すぐ戻りますけど、何かあったらナースコールで呼んでください」
気遣うような声音でそれだけ言うと、看護士も病室から姿を消した。病室には、老人と少年、そして瑠璃の三人きりになってしまった。
少年は、老人の枕元から足元の方へと移動した。そして、むき出しになった老人の足に恐る恐る触れると、優しい手つきで撫で始めた。老人の蝋細工のようなうす黄色い足には、青や橙色をした、細かな斑点のようなものがいくつも浮かんでいた。
「お祖父ちゃん。最後に一緒にごはん食べたのいつだったっけ?」
老人の返答はなかったが、少年は言葉を続けた。
「もしかしたら、もう何年も前かな。ぼけちゃってからずっと、一人で自分の部屋で食べてたもんね」
外の廊下から、子どもの笑い声と、ぱたぱたと走る足音が聞こえてきた。それに続いて、しかりつける女の人の声が響く。
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