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足搔こうにも、がっちりと抱かれる身体は何一つ抵抗の形を作れない。混乱してじたばたと動かした足は、簡単に八城の足に絡めとられた。
まるで八城の玩具だ。
「花岡も、中田も、男は全員そうだよ。こんな魅力的な女の子を前にして、途中でやめたりできない」
「ん、お、なか……っ、手、ぅ」
「悪いやつなら、酔わせて、好きなだけぐちゃぐちゃに抱く」
ぞっとするほど低い声に、わけもわからずに何度も頷いた。
八城は、手加減をしてくれている。何度も思い知らされていることにもう一度気づいてしまった。
何度も頷くうちに、八城の手が下腹部からそっと離される。身体を拘束していた足の力も緩んで、ようやくすこしだけ呼吸ができるようになった。
八城の本気の前で、私の抵抗など些末な児戯に等しい。
熱を孕んだ指先がするすると私の手を探り当てて、優しくつなげられた。すこし前に感じた強引な熱とは違う感触に、心底安堵している。
私の安堵が伝わったのか、八城に緩やかに抱きしめられる。
「心配だから、俺以外には頼まないでね」
くつくつと笑いながら、形を確かめるように後ろから抱きしめられる。その熱に侵食されるように、少しずつ落ち着きが戻ってきた。
ずっと高鳴りっぱなしの心臓を抱えているのに、どうしてこんなにも安心できるのだろうか。
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