理不尽なのは人生そのもの? ✽『審判』

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理不尽なのは人生そのもの? ✽『審判』

こんにちは、未苑です。皆様はお盆休みはゆっくり過ごせましたか? 前回PC故障の件、たくさんのご心配の声&有益な情報をありがとうございましたm(_ _)m✨✨ とりあえず買い換えることになりそうです💦 猛暑でのPCダメージ、皆様もお気をつけて下さいね……!  * 世間は夏休み。夏休みといえば、読書感想文! ということで、今回は〈エブリスタ読書会〉の第5弾をお送りいたします。 *エブリスタ読書会 ……エブFF様と同じ本を読み、各自感想を交流して多角的に楽しむのが目的。随時メンバー募集中しております。お気軽に是非ご参加して下さいね♪ 📚エブリスタ読書会 【群芳譜】→https://estar.jp/user_groups/10399 cba1b600-cf96-42f4-b872-b6b3f52b7633 恐れ、をイメージして加工したら、やたらホラーで課題図書からイメージがズレてしまいました💦 ※なおスマホ加工ゆえ線画は過去絵です(いや、過去に何を描いているんだ私は・笑)  *今回の課題図書* 『審判』 フランツ・カフカ 角川文庫 日本国民なら殆どの人が知っている(未読であっても)カフカの作品と言えば『変身』ですが、こちらだと少し認知度が下がるのでしょうか? 『必読書150』ではこちらが紹介されていたことから、今回私めが選書いたしました。 30歳の誕生日の朝、ヨーゼフ・Kは理由不明の咎で捕まります。ところが生活の自由を約束され、Kは地位ある銀行員として何ら変わらない毎日を過ごします。 そんなある日、最初の審判に召集され、庶民の住宅の間に隠れて存在する秘密裁判所にてKは無罪を主張するのですが、聴衆は全員が役人側でした。 不憫に思ったKの叔父が弁護士を尋ねるも、年老いた弁護士は役立たず、その娘に誘惑され、何も進展しないまま時が過ぎます。 そして迎えた31歳の誕生日、遂にKに下された結末とは……。 り、理不尽すぎる……!! 読了後、思わずページ戻って読み直してしまいました💦 ※結末をご存知ない方はぜひ読んでみて下さい。そして反応を私に教えて下さい(笑) 調べたところ、『審判』は未完作で最初と最後だけは決まっていたそう。巻末に数本のエピソードが添付されていることに納得します。母親に会いに行く下りに、Kの心境の変化など垣間見えるようですが、如何せんショッキングな終わり方でした。 何せ、作品中の誰もがKの罪状を知らない(もしくは知っていてもKに告げない)からです。 役人達はただ「上層部に命じられたから」淡々とKを扱う。味方となるはずの弁護士も叔父や法廷画家も、その知見は役立たずにKの精神を弄ぶにすぎない。また、慰めるはずの女達はKを翻弄しているようでした。 それはまるで突然訴訟に立たされたKが、蟻地獄の中心に置かれたように、見えない力に飲み込まれていくように。 うーん、不条理。理不尽。 とここまで書きながら、ふと、現実社会もこれに近い部分があるのでは? と思いました。 まず役人側。最近、ハンナ・アレント関連本を読んだのですが、アイヒマン裁判と重なります。 「ユダヤ人虐殺を企てた人間が、平凡な悪で、普通の人だった」 Kに謂れがない(少なくとも作品中で証明されない)のに疑いなく審判に携わる役人は、自分が悪の「歯車」になっていることに気付いていない。有名人へのキャンセルカルチャーにも少し似ています(理由がネジ曲がる所に、SNS袋叩き特有の怖さもありますが) そして、理由もなく被告人として立たされるのは、どこか「◯◯ガチャ」と通じます。 ――己で出生も環境も選べない、最初から勝負は決まっている――、つまり、生きること自体が理不尽だということ。そんな風潮が浸透する2023年にカフカを読むと、作中の挿話「掟の門」での文章がぐさりと刺さります。 ‘’’門番のところへ一人の田舎いなかの男がやってきて、掟の中へ入れてくれと願った。しかし門番は、今ははいることを許せない” “男がすでに臨終にあるのを知り(門番は、)『ここではほかの誰もが入れてもらえなかったのさ。なぜなら、この入口はただお前のためときまっていたからだ。どれ、わしも出かけよう。そして門をしめよう』‘’ 不条理。理不尽。 『変身』にも通じるテーマは、旧時代から解放されて個人になった人間が背負うことになった孤独と表裏一体なのかも知れません。 *エブリスタ読書会メンバー募集しております♡ リーダーは蜜原(みつはら)みな子さん。お気軽に参加して下さいね!  📚エブリスタ読書会 【群芳譜】→https://estar.jp/user_groups/10399
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