青春は青いだけじゃない、黒いのだ ✽ 『セカンド・ショット』

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青春は青いだけじゃない、黒いのだ ✽ 『セカンド・ショット』

書くスピードの遅さには自信があります(涙)こんにちは、未苑です。 お返事やペコメ、その上執筆も全くできていなくて……自分の脳処理スピードに不安が募るばかり。涼しくなっても亀スピードな自分に、とほほ、です。 頑張って皆様に追いつきますのでお待ち下さいーー!!💦fc7d9b2b-c81b-4c96-88e1-37f9f589113d今回紹介の作品に合わせて。 ボールと背景はアイビスペイントからお借りしました(←横着)「飯終わったらバスケしようぜ!」的な。ちなみに私は、食後は牛派です(笑)  *青春の光と影をプレイバックしたいなら* 『セカンド・ショット』 川島 誠 角川文庫 みその市立エブリスタ図書館(※妄想です)の司書(※これも妄想)、昭島瑛子さんに「バスケ小説なら」とご紹介いただきました。ありがとうございます✨ 9篇から成る短編小説集です。思春期の少年がそれぞれ抱える小さな闇がリアルな暗さと気怠さに満ちていて読み応えありました!  実際、自意識が肥大してくる年齢に<日●組による学校教育>で集団生活を強いられるのですから、ドラマに描かれるような爽やかなブルー(青春)とは程遠いのが現実……と思ってしまうのは、私が根暗なせいではないはず(苦笑) バスケ小説は表題作「セカンド・ショット」。 中学バスケ県大会をベスト8の成績で引退した俺は、クラス対抗バスケットボールの球技大会で担任からタカオの面倒をみるよう頼まれます。ろくに喋れないうえに運動音痴のタカオは、かつ安物バッシュを履いてきて「ビンボー」と周りにからかわれる存在。 「お前気でも狂ったのか?」と友達に冷やかされながら個人コーチを開始。ところがろくに動けないタカオに、俺は奥の手としてにゴール下シュートをひらすら特訓することに。 「タカオくんの就職先の工場の社長がバスケ好きで、当日観覧に来るから」 と担任にプレッシャーをかけられて……。 運動神経の差って悲しいかな、残酷ですよね。主人公が嫌々ながらもタカオのお世話をするのですが、決して悪い子ではないけど茫洋としたタカオと俺との交流の嚙み合わなさが何とももどかしく、リアルです。思春期の成長途中の能力の差は、相手を憐憫もしないけど見切りもしない。まだどちらにも行き来出来るグレーさが(ある意味)眩しかったです。 他作品だと「田舎生活(カントリー・ライフ)」が印象的でした。少年サンデーを「中学生には有害図書だから」と売らないような商店しかない田舎に引っ越した少年が、役所務めの親が栄転だと浮かれる様を睥睨し、とある破壊的行動に移ります。なんとなく中上健次の『十九歳の地図』の読後感を思い出して……。 青春の真っただ中では世の理不尽への怒りと、それに追い付かない自分との闘いで精一杯。 その黒い輝きを見られるのは流れ星のように一瞬だから、美しい。 喉元過ぎれば何とやら。青春が甘酸っぱいのは、それを乗り越えて振り返った大人だけの特権。というか、記憶の美化のお陰かも知れません……ね? ✽ペコメへのお返事は次項へ→
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