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路上のシスターズライフ *『無年金者ちとせの告白』
今日(2024年5月19日)は、文学フリマ東京!!
“文学”作品ならばどんな創作物でも、プロ・アマでも販売できる素敵な祭典です(※全国で実施されています)
ここ数年は皆勤賞な私ですが、今回は残念ながら外せない用事があり(;_;)
出店の方も一般来場される方も、参加される皆様が楽しめますように……♪
*貧困と高齢社会を生き抜く力をくれる作品*
『無年金者ちとせの告白』 西尾潤 光文社
今回は文フリ絡みの小説を♪
ちょうど1年前の文学フリマ東京で購入し、なんと、著者・西尾先生からサインを戴いてしまいました✨✨
とっても気さくな方で、私が作家志望と聞くと激励までして下さいました! 西尾先生、ありがとうございました✨😭✨
そんなフレンドリーさ(?)がこの作品にも溢れております。
坂田パーキングエリアのトイレ清掃員として日夜働く73歳の梨元ちとせ。
度重なる結婚の失敗ゆえに年金を受給できず働くしかないちとせにとって、訳ありな家族を抱える同世代の同僚・栄だけが理解者です。
ある日、無断駐車するワゴン車から死体と遭遇するちとせは、どうやらパーキングエリアには車上生活者達が多くいることを知ります。
学校に通わせてもらえずにシングルマザーの母親と車中泊するレミちゃん、認知症の母親と重度障害を抱える姉を連れる中年男性の章良……。
同時期に、甲斐と名乗る男から
「元夫の生命保険金が払われる可能性がある」
と伝えられたちとせは、何やら訳ありの甲斐に少しずつ惹かれ、関係を持ってしまいます。
その矢先、親友の栄から、
「義母の介護に苦しむ姪を助けて欲しい」ととんでもない依頼を受けることに……。
何とも、リアルでディープな現代日本の裏側! 現実にありそうなトンデモ裏ビジネスが絡んできて、フィクションとは思えぬ恐怖を味わいながらも、ラストにはどこか吹っ切れたような爽快感すら感じます。
実際、マンガ喫茶泊など含めると居住地を持たない人達は国内に何万人もいるそうで……。
不思議と他人事じゃないというか、現代日本の〈無縁社会〉のなれの果てを垣間見たような小説です。
無縁社会を語る上で切っても切れないのが、貧困問題――令和の日本において自業自得な面が全く無いとは私には言えませんが、それでも自己責任ではないケースも多そうです。
だからこそ、相手の経歴云々を知らない相手に条件反射で手を差し伸べる――ちょっと男にだらしないちとせを見捨てられなくなります。
貧困×高齢社会=シスター(ブラザー)フッド
年齢を重ねた者同士だから解りあえる、ちとせと栄の友情に憧れを抱きつつ、これからの日本が生き延びていく力強さを与えて貰える1冊です。
※今回イラストが間に合わずm(_ _)m💦
📖今回ご紹介の作品はこちら→https://amzn.to/3WLsxgU
*どうでもいい追記
今回の章タイトル「路上のシスターズライフ」は、小沢健二の1995年発表シングル「戦場のボーイズライフ」のもじり……。わー、畏れ多い💦 めっちゃ好きな曲なんです♪♪
*ペコメ下さった皆様、ありがとうございます! お返事はペコメ欄に返させて頂きました♡♡♡
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