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『必読書150』より精読中✽『「いき」の構造』
前回は情けない報告で失礼しましたm(__)m
どうにも執筆が進まない、文章を書くのが苦痛……は小説描きにとって避けられない壁ですかね💦 励ましの言葉を下さった方々、ありがとうございます✨😭✨
皆様がご自分のペースで楽しく執筆できますように。
下絵無しで描いたら首がやたら細く💦💦 粋じゃなくてガン飛ばし中のお姉さんに(笑)
*粋な人になりたい……ところで、粋って何ですか?*
『「いき」の構造』 九鬼周造 青空文庫(底本:岩波文庫)
日々、スマートとは真逆にのたうち回りながら生きている私ですが、ふと章題の疑問が湧いて上記作を思い出しました。
「あの人は粋なはからいをする!」
「いきな着こなしをした女性」
など、洗練された身のこなし、またはその人を指す言葉「いき」。
私はどちらかと言えば対義語の「野暮」な人間なので(苦笑)憧れからその定義に迫った本作を、改めて読むことにしました。
こちらは『必読書150』からの選書。(※)
実は大学入試問題でもお目にかかることがあり、チューター時代に斜め読みしただけだったので、ちゃんと読むのは初めてでしたが、短いので読みやすかったです!
明治生まれの哲学者でフランス哲学講師だった・九鬼周造の代表作で、日本の美意識である「いき」について考察しています。曰く、
“民族の生きた存在が意味および言語を創造する”ために、“「いき」は特殊の民族性をもった意味”。
九鬼が述べるに、「いき」は「生」「息」「行」「意気」を孕むもの。
似た意味のフランス語に「chic」「coquet」「re-affiner」があるものの、比較するに、やまと民族の様態の自己表明にしかないものが「いき」にはあると述べています。
その条件とは「①媚態」「②意気地」「③諦め」。
例を出して説明しているのですが、これが面白くて!!
①「いき」は「いろごと」であって、媚態が含まれていないといけない。それこそ恋愛対象に心が「行って」いるオープンマインド状態を指していると。
一方で②「意気地」でもあり「武士は食わねど高楊枝たかようじ」の心意気、ちょっとストイックで理想主義な部分は武士文化が土台にあります。
そして忘れちゃいけないのは③「諦観」。
悲運、悲恋に対して執着を手放した状態がイイ、とごり押ししています。それこそ、男に泣かされた女性が、婀娜っぽい微笑みの裏に“熱い涙のほのかな痕跡”を見せるのが色っぽい=「粋」じゃないか、と(笑)
この仄かさには霊性を含んでいて(古より日本の幽霊像に“足がない”ことと通じるをと思い出したのは私だけ?)、仏教色が確実に滲んでいるゆえと。
他にも、「いき」に近い言葉である「上品/下品」「派手/地味」「渋味/甘味」と比較し、各六点を座標点として「いき」がどこを指すのか直六面体に図式化(!)した挿絵まで。急に数学になったかと思ってびっくりしました。
結論から言うと、六点よりも範囲の広い「いき」の
✽参考:https://kotento.com/2021/02/06/iki/2/
また、自然的発生の例も挙げています。身のこなしでいうと“姿勢を軽く崩すことが「いき」の表現=異性へ向う能動性および異性を迎うる受動性を表現”だそう。衣服なら、襟足を見せて「肌への通路」(※本文まま。凄い表現!)を作るとベター。裸体は野暮だけど、うすもの羽織りや湯上りは萌える、と。
つまり、少し隙のある女性のほうが魅力的なんだと(笑) なお、イメージ例は喜多川歌麿の婦人絵だそうです。
芸術面での考察だと「縞模様」が「平行性」を表し、洋服や建築はストライプが最強だと。ただし、スレンダー女性のボーダーは却って際立つからOKだそう(※これも本文まま・笑)
何だかフランクなまとめになりましたが、九鬼は最後にこうまとめています。
“「いき」の存在を構成し得るのは、既に意味体験としての「いき」をもっているから”
“わが民族存在の自己開示として把握されたときに、十全なる会得と理解を得る”。
つまり、日本人が意識的/無意識的に五感を味わっていく中で存在するのが「いき」で、客観的に意味を把握したところで体得出来ないもの。
……うーん、やっぱり粋な人間になるにはまだまだ先が長そうです(苦笑)
ちなみに、九鬼は本作をフランス留学中に草案を完成させたそうですが、その頃の家庭教師がサルトルだったとか!
✽スター、ぺスタ、ペコメありがとうございます!! お優しいコメントにはいつも支えられています、ありがとうございます✨😭✨
いつも通りペコメ欄にお返事いたします💕
※『必読書150』についてはこちらご参照:https://estar.jp/novels/25793840/viewer?page=360
今年の目標は上記リストアップから30冊読破なのですが(未読のもの対象)……今、何冊目かはひみつです(笑)
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