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心を変革する小説 ✽『バルザックと小さな中国のお針子』
ファッション雑誌の写しも、やたらしていました。
COCUEというブランドをご存知でしょうか。
オリエンタルで、キッチュで、そこそこ安価なブランドが90年代後半に台頭していました。残念ながら6年前にクローズ(涙)
なんちゃってチャイニーズなものは、記号として未だに惹かれます。
なにせ、呪い的泉に溺れた女剣士の某アニメキャラが好きなのでw
✽中国文化を感じたいなら(イラストは無関係…でもない) ✽
『バルザックと小さな中国のお針子』/ダイ・シージエ ハヤカワepi文庫
文化大革命の頃の中国、〈知識青年〉である僕と親友・羅は田舎で再教育を受ける。山で唯一の仕立て屋の娘に恋をする一方で、紅衛兵に本を没収される中、仲間の隠し持っていた西洋文学――バルザックの本に出会う。
焚書をテーマにした小説だと『華氏451』が好きなのですが(※)、警鐘を鳴らすSFと比べ、こちらは実際のマオイズム真っ盛り、著者の実体験をもとにした青春ものです。
楽器も映画も知らない(!)田舎者に囲まれた山奥暮らし、知識から最も遠ざかった場所で本に耽る。牧歌的だった生活が、羅と娘との間で変容していきます。
小説が、個人の内面を変革させていく様を、瑞々しく描いています。
なお、作中ではバルザック以外にも、19世紀の英仏文学が多数出てきます。最初に僕が読んだのは、『ユルシュール・ミルエ』。すみません、未読です……。いい加減読もうかしら(みな子さんと倉橋さんは既読そうなイメージ)。
※『バルザック〜』はその後、映画化されています。『華氏451』もそうですが、原作と映画は全く別物として好きです。書籍の持つ背徳的とも呼べる力を、映像で伝えるのは難しいですね。文章ありきかと思います。
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