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うちには居候がいる。気づいたら近くにいて、気まぐれで眠っている俺を起こしてまたどこかへ行く。帰ってきてへとへとな俺を見ると、食事を要求するような思いやりの”お”の字もないような奴。
「たまにはお前もなんかしてみろよな」
「ふん」
いつものやり取りだ。俺が皮肉を言ったって通じやしない。
いつだったかやけ酒をしようとしたら、奴はブランデーが入ったビンを倒し面倒になった。そのまま俺は睡眠導入剤を飲んで寝た。次の日は案外すっきりした気分だった。
気分転換にドライブに行こうとしたら車の鍵を隠された。探しているうちに出掛けるのが面倒になった。
物干しざおをつるすためにロープを買ってきたら、それで遊び始めて手が付けられない。
全く余計なことしかしない。それでもベッドに入ると迷わず横で眠る奴の体温は温かくて、なかなか嫌いになれなかった。たまらず愛しくなって頭をなでたこともある。
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