はちが書店の花束

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「それを付けてみてくれ」  絵麻はとまどいながらも、ゴーグルと手袋を装着した。ズシリと重たくて、メカニックだった。 「目を開けててね」  影山くんがそういうと、ゴーグルが起動しはじめた。そして―― 「えっ!! すごい! なにこれ!」  そこには、はちが書店の店内の様子が映し出されている。  雑誌コーナーから文庫コーナーまで、内装のすべてが同じだった。  《 VR 》 バーチャルリアリティーの世界だ。  本当に書店にいるような感覚だった。店の隅には、ちょこんと座るセッちゃんまで再現されている。目が合うと、『いらっしゃい』と声をかけてくれた。 「すごい! 本当に書店にいるみたい」 「好きな本を選んだら、それをタッチしてみてくれ」  影山くんの声が聞こえた。
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