寄り添う君の猫でありたい

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だけれど時に人間は、猫にはできない強さを見せる。主人はそれをよくすると僕は思う。 ほら、今日も。 キャットタワーの1番上から腕を半分はみ出させて、しっぽをブンブン振りながら主人を見下ろす。 主人は今日も客人に真摯に向き合っている。 「〜だから、✕✕で…どうしたらいいのかなぁ…」 「そうだねぇ…難しいね…」 主人は今にも泣きそうな客人に寄り添って話を聞いている。一緒に悩んでいる様子。 何が楽しくてそんなことをするのか、分からにゃい、猫だから。 猫で言う縄張りの中での共存的なことなのだろうか、難しいことは分からにゃい、猫なんで。 しばらく観察していると、とうとう客人が泣き出した。主人は困り笑いで「大丈夫だよ」と励まし続ける。 そんな主人も泣きそうなことは客人に知られないままに。 だけど僕はわかる。主人をいつも見ているから。こうして自分の特等席から。主人の変化には僕が一番敏感なんだ。 匂いも振る舞いも全部変わるからすぐに分かるんだ。
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