寄り添う君の猫でありたい

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そんな今の僕にはやることがなくなってしまった。せいぜい主人を高みの見物するか、主人のピンチに寄り添うか、それくらいだ。 だけれどその役目がどれほどの大役か、僕は今までで学んできた。 だが、とても鈍い、人間は本当に何一つ僕らを分かってくれない。だから僕らが示さないと分からないままに終わってしまう。今みたいに。 「にゃあ!」 僕は今までで一番強く鳴いて、頭を下げてつっ伏す主人の腕と頭の間に無理やり頭をねじ込んで顔を上げさせようと試みる。 「あ〜、もう!ムギ!やめて!わかったよ!遊べばいいんでしょう!」 苛立たしげにガバッと顔を上げた主人の顔は泣いて酷く腫れている。そうだ、それでいい。主人が猫じゃらしを持ってくるが、それから顔をそらすと、やっとそこで主人は僕が遊びに誘っているわけではないことに気づく。 「あれ…ごはん…?」 「…にゃあ」 「…おやつ?」 「に''ゃ!」 検討はずればかりの答えに全部視線を外す。 馬鹿野郎!と言わんばかりに。
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