寄り添う君の猫でありたい

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すると、やっと求めていた答えが導き出される。 「…もしかして慰めに来てくれたの?」 「にゃあ!」 正解!の意を込めて大きくしっぽを振って鳴くと、椅子に座り直した主人がまた泣きそうな顔で「ムギィ!」と僕を抱きしめてきた。 ぐぅえっ。あまりの強さに逃げそうになるのを堪えた。 はいはい、好きにしてください。 それで涙が止まるならいくらでも。 毛が涙で濡れるのは多少嫌だけれど、背に腹はかえられにゃいな。 主人にめいいっぱい抱きしめられる僕は、主人の身体に顔をすり付ける。 人間は弱味を人がいる。それは同時に人もいて、それが主人だ。 人間に寄り添う人間は弱みの捌け口を日々探している。強く優しい主人は、僕の前だけ弱く脆い主人になる。そんな主人には僕の支えがないときっとやっていけない。
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