4人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、やっと求めていた答えが導き出される。
「…もしかして慰めに来てくれたの?」
「にゃあ!」
正解!の意を込めて大きくしっぽを振って鳴くと、椅子に座り直した主人がまた泣きそうな顔で「ムギィ!」と僕を抱きしめてきた。
ぐぅえっ。あまりの強さに逃げそうになるのを堪えた。
はいはい、好きにしてください。
それで涙が止まるならいくらでも。
毛が涙で濡れるのは多少嫌だけれど、背に腹はかえられにゃいな。
主人にめいいっぱい抱きしめられる僕は、主人の身体に顔をすり付ける。
人間は弱味を見せない人がいる。それは同時に見せられない人もいて、それが主人だ。
人間に寄り添う人間は弱みの捌け口を日々探している。強く優しい主人は、僕の前だけ弱く脆い主人になる。そんな主人には僕の支えがないときっとやっていけない。
最初のコメントを投稿しよう!