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「…ありがとう!ムギ!」
「にゃあ」
ほら、笑った。さっきまであんなに泣いていたのが嘘みたいに。
主人の選択が賢いとは思わないけれど、そんな主人を嫌いにもなれにゃいにゃあ〜。
僕の使命は誰かに寄り添う君の猫であり続けること。それが僕の願いでもあるんだよ。
その想いが届かなくても、僕はそうし続ける。僕の猫生が終わるその日まで。
主人はのほほんと笑っているのが一番いい。
僕ら猫達は争いの絶えない中を生きていたけれど、そんな僕を救ってくれたのは主人だ。縄張り争いの中で傷を負い、その傷が悪化して雨の中死にかけていた僕を笑顔で出迎えてくれた。その笑顔に僕は救われた。冷たい外の世界で生きていた僕に温もりを教えてくれた。それがどれほど僕にとって大きな変化だったのか言わずもがなだと思うけど、本当にそうなんだ。僕に平和をくれ、安定的な暮らしを与えてくれた人だから。
僕も主人に安らぎの場を与えたいんだ。
「これからもずっと大好きだよ、ムギ」
「にゃあ!」
たった一言の言葉でしか鳴けなくても、必ず想いは通じるから。僕は君の傍で寄り添い続けるよ。僕も大好きだよ、主人。
声高らかに鳴いた僕は、しっぽを左右に上機嫌で振り続けた。遠い日の記憶に思い馳せながら。
~完~
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