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ケース6️⃣ 前世転生
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ひんやりと冷えきった、地下の一室。
ここにいると、今が朝なのか夜なのかさえ
判別出来ない。
僅か一階下分の階段を下りただけの場所が、まるで地上の現実社会から隔離されたような空間に感じる。
20畳程のこの部屋は、四方を壁に囲まれ、陰湿で密閉されていた。
そんな場所に似つかわしくない、清純な雰囲気を漂わせた美しい女性が、目の前に座っている。
その女性とテーブルを挟んで対面に座った綿星は、質問をされていた。
壁とテーブルのランプが、神秘的に照らし続けている。
綿星は目の前の女性、メグに解答を迫られていた。
「えっと、『前世』・・だよね。」
一旦、言葉を返す綿星。
それに対し、メグは微笑みを絶やさず、優しく投げかけてくる。
「そう〜デス。アナタは、『前世』を信じますか?」
綿星はメグを見つめながら、自分の頭を掻いて言った。
「俺は、・・『前世』を信じるよ。占いも、信じてる。そして、メグちゃんの事も信じるよ。」
それを聞きながら、メグは笑顔を絶やさない。
「そう。良かったデス。私は、占いも出来ますし、『前世』も見る事ができマス。どちらにしますか?」
「あ、そうなんだぁ。えっと〜、両方とも好きだから、占いも『前世』も、まとめて見てもらおうかな。」
綿星が、依頼した。
「分かりました。では、まず占いからみましょう。」
「あの、メグちゃん。占いって、手相見たり水晶かカードとか使うの?」
綿星が尋ねる。
メグが冷静な表情で答えた。
「イイエ。私の占いは、ほんの一瞬その人の中に入る・・ウ〜ン。つまり、憑依《ひょうい》・・します。そして、占うというやり方なのデス。」
「へえ〜。そうなんだ。憑依? 俺の中に乗り移るって事だね。凄いやり方だ。」
綿星が感心した様子で言う。
「では、占っていきますネ。」
メグが、静かに伝えた。
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