ケース6️⃣ 前世転生

10/87
前へ
/87ページ
次へ
そう言われて、困惑する綿星。 「占いと前世のセットとしても、この料金なの? 最初に料金、聞いてなかったしなぁ〜。」 「そうでしたよネ。すいません。でも、皆さん。この金額で来られていますゥ。」 綿星の前で、謝りながら説明するメグ。 その状況の中で、メグを見ながら話を聞いている綿星は、透き通るような白い肌と、吸い込まれそうな青い瞳に魅了されていく。 長いブロンドの髪がより一層に色気を感じさせ、喋る唇は潤いを見せながら、その愛くるしさを漂わせるのだ。 そのうちに、メグ自身から放たれる、可憐な花のような匂いは、綿星を包み込んで離さなかった。 決して露出のほとんどない衣服を身に着けているメグであったが、それでも全身から醸し出される女性としての色気を、綿星は感じずにはいられなかったのだ。 途中から、メグの説明内容はよく聞こえずに、綿星はただ魅惑の幻想へと吸い込まれていく。 綿星は言葉を失い、乾いてきた喉にゴクリと唾を飲み込んだ。 そうして発した言葉は、 「・・ま、まあ、俺の方も料金を聞かなかったのも悪いし。それに有名な占い師なら、今までも、それに近いぐらいの金額を払った事あるし。」 と、自分でもよく分からなくなっていたのだった。 そして、メグが懇願する目でそっと言う。 「この収入で、私は姉妹たちと生活しているんデス。エイミーとベスは、まだ幼いですし。」 そう言われて、ハッとした綿星が話しはじめた。 「そうだよね。四姉妹で必死に日本で生活していかないといけないからね。そうだった。俺は、その手助けをするって言ったばかりなのに・・ね。」 そうして、急にサイフを取り出す。 「俺の方こそ、ごめんね。占いと前世を見てもらってるのに、支払いを渋るなんて・・。情けないよね。」 綿星は、メグに3万2000円を支払った。 「ありがとうございますゥ。」 笑顔で、お礼を言うメグ。 「いや、良いんだよ。メグちゃんたち姉妹の助けになるなら。」 照れながら、綿星は言った。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加