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松田は再び、シートを倒して寝転ぶ。
「襲われた同じ護送車には、数名の容疑者たちが乗っていたが、そいつらはすぐに皆、捕まえる事ができた。そして襲撃してきた奴らも全員逮捕し、それが同じ暴力団仲間だという事も分かった。だが・・皆川だけがどこかへ逃亡し、未だに見つからない。」
それに連なり、江戸川も付け加えて言った。
「その仲間の暴力団事務所も捜査したけど、皆川は見つからず。皆川が護送中に逃げた、という連絡が入ったのが、確か先日、松田さんと一緒にタコ焼きハウスに行っていた時でしたからね。という事は、まる二日経っているって事ですね。アイツ・・一体どこに行ったんですかね?」
それに対して、松田は目を閉じて答える。
「ヤツは今、・・単独で行動しているか。それとも・・・今回の事件の、黒幕と合流している、か。」
「そう考えると松田さんの言う通り、とにかく被害者が出ないかが一番心配ですよね。」
江戸川は、コーヒーを一口飲んでドリンクホルダーに置いた。
「皆川は危険人物だ。人殺しを何とも思ってない。」
江戸川がハザードランプを消して、車を運転し走らせていく。
「とにかく、少しでも皆川に繋がりありそうな所をあたっていきましょう。」
松田と江戸川の乗った、そのグレーメタリック色の車はスムーズな走りで車道を進んでいった。
そこで松田が、助手席から声をかける。
「おい、江戸川。ところで、この車。何て言ったかな。」
「あ、この車は、トヨタのスープラです。新型のスープラになります。」
運転しながら、すぐに江戸川が答えた。
「は? スープラ? ・・スープラか、テープラか知らねえが。いつも乗ってたクラウンは、どうしたんだ?」
松田が助手席に寝転がったまま、悪態をつきはじめる。
「この新型スープラを特別に導入されたんですよ。」
「フン。本当かどうか知らんが、なんか聞いた話じゃ700万も800万もするらしいじゃないか。」
「ええ、まあ。新型ですし。」
江戸川は、イライラが高まってきている松田を察し、なるべく激昂させないように心掛けた。
松田の文句は続く。
「だいたい、こんなスポーツカーにして、どこを走るんだ⁈ ニュルブルクリンクのレースでも出るつもりか?」
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