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ジョオは、腕組みしたまま軽く頭を下げるが、笑顔もなく綿星を見ている。
ベスは、そのジョオの側にいて、大人しくじっとしていた。
エイミーは、相変わらずゲーム機で遊んでいる。
そこで、メグが付け加えた。
「言った通り、ベスとエイミーはあんまり日本語を上手く話せません。私とジョオは、それなりに日本語で話せマス。」
どこか、しんみりとした雰囲気に、綿星が愛想を振り撒いて話す。
「まあ、いいんじゃないの。他国の言葉が話せなくても、ジェスチャーとかで通じるものがあると思うよ。」
綿星の振る舞いにも関わらず、部屋の中に沈黙が流れた。
しらけたような空気の中、なんとか綿星が取り繕《つくろ》うように会話を続ける。
「そうか・・。まあ四姉妹で仲良く、日本に来て頑張ってるんだね。・・ご両親は?」
メグがやや俯き加減に答えた。
「父は、アメリカにいる時に病気で亡くなりました。母は、一人日本へと移住したので、私たちはそれを探す為に来たんデス。」
「そうだったのか。母親を探す為に・・・。離れた知らない日本に来て、不安だっただろ。」
四姉妹に、同情を寄せる綿星。
メグが話しを続ける。
「ベスとエイミーはまだ幼いデス。私とジョオで、なんとか占いなどして稼ぎながら生活していますゥ。」
そんな諸事情を聞いて、綿星は胸が熱くなり、四姉妹それぞれを見渡した。
「・・そうか〜。そうだったのか〜。」
深刻に考え込む綿星。
そして顔をあげ、メグを見ながら言った。
「俺で良かったら、頼ってよ。力になるよ。」
「嬉しい。綿星さん。ありがとうございますゥ。」
メグは笑顔を見せながらも、少し涙ぐんでいる。
そして綿星は、凛とした顔つきで言った。
「俺は男だし。日本にも詳しいし。お母さんも一緒に探そう。」
「綿星さん。ありがとうございますゥ。」
メグはまた重ねて、お礼を言う。
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