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そして綿星は、渋々と椅子から立ち上がると、メグに言った。
「じゃあ、・・今日のところは帰るよ。」
「綿星さん。必ず、また来てくださいネ。」
メグが、綿星を見つめながら伝える。
「もちろん! 絶対に来るよ!」
笑顔を向ける綿星。そして、
「じゃあ、・・今日の料金はいくらかな?」
と尋ねた。
「えっと・・・少しお待ちくだサイ。」
メグはそう言うと、部屋の奥の隅に行き、何やらカバンを取り出している。
その間も、部屋の隅でゲーム機で遊んでいるエイミー。
ジョオは腕組みをしたまま、出入り口付近に立っている。
そして通例といった感じで、ベスがメグの側に歩み寄っていくと、何かを受け取っていた。
メグから受け取った何かを手に持って、ベスが綿星のところにやってくる。
そうして、
「ハイ。」
と、ベスから一言言われて渡された物は、一枚の手の平サイズの紙切れだった。
綿星は、その紙切れを受け取ると、それを薄暗いこの部屋で確認してみる。
紙切れには、ただ数字が書かれてあり、綿星はそれが今日の料金である事をすぐに悟った。
『32,000』
それを見た綿星が思わず、
「え⁈」
と声をあげる。
手の平に、その紙切れを持ったまま、呆然とする綿星。
目の前に立っているベスは、少し申し訳なさそうな顔をしている。
部屋の奥の隅では、メグはこちらを見ないで、カバンの中身を扱っていた。
綿星は呟く。
「え⁈ 3万2000円⁈」
そう言って、もう一度手の平にある紙切れの金額を見直した。
次に綿星が放った言葉は、
「こんなに高いの⁈」
だった。
ランプだけの薄暗い部屋で、4人の女性に囲まれ、嫌な空気だけが流れていく。
綿星は金額の事を、遣いの役割として目の前に立っているベスに言っても仕方ないと思った。
そして、奥にいるメグへと投げかける。
「あの、・・メグちゃん?」
すると、すぐに綿星の所へメグが近寄ってきた。
「どうしました?」
「いや、その・・どうした、っていうか・・少し金額が高いような・・。」
綿星は少し戸惑いながらも、料金の事を聞いてみる。
すると、メグが申し訳ないといった表情になり、説明をはじめた。
「ごめんなサイ。今日、占いと前世の両方を見たので、この金額になりマス。」
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