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「ねえ、人の家で何してんの?」
人の家であることをすっかり忘れて口論をしていたせいで、家主に存在がバレてしまったようだ。
「さささささささ坂下くん!!!!!」
突然、一緒に押し入れの中にいた女性が取り乱した。わかりやすくテンションが上がっている。
「この人あなたのストーカーみたいなんで、すぐに警察に通報した方がいいですよ?」
僕は坂下なる人物に忠告をしておいた。
「そういうあなたはなんでこの家にいるんですか?」
せっかく親切心で忠告してあげたのに、坂下は呆れた声で僕に攻撃の方向を変える。
「なんでって……」
「坂下くん! こいつ空き巣よ! 早く追い出しましょうよ」
今度は女性の方が水を得た魚のように、僕のことを糾弾してきた。
「そういうあんたもストーカーなんだろ? ていうかそもそも僕のことストーカーしてるっていうけど、あなた一体誰なんだよ?」
「え、あなたとこの人、面識ないんですか?」
思わず聞いてしまった。てっきり知り合いのイケメンを追いかけて、無断で家に潜んでいるものと思っていた。
「知らないよ、こんな人」
「ええ? じゃあどこで出会って、ストーカーし始めたんですか?」
僕の質問に、女性がうっとりとした目つきで答え始めた。
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