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こちらがはてなマークを頭に浮かべるのとほとんど同時に押し入れの先客も首を傾げた。
「あんた空き巣なの?」
取り乱していた女性はこちらの正体を知ったことで瞬時に声を落ち着かせた。子どもを叱っていた母親が、電話に出た瞬間別人のような穏やかな声を出すのを彷彿とさせる変わり具合である。
「え、まあ、そうですけど……?」
「そう。恐れ多くも坂下くんの家に侵入するなんて、さっさと自首した方がいいわね」
一転して強気に出ているこの女性だが、先ほどまで明らかに、僕が警察に行くと言ったのを聞いて取り乱していた。
「もしかして、あなたも何か警察にバレたらマズイ秘密を抱えてるんじゃないんですか?」
「はぁ? あんたみたいなコソ泥と一緒にしないでよ。私のは純愛よ! 人に後ろ指刺されることなんてしていないわ!」
「でも人の家に無断で忍び込んでいるんですよね?」
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