深淵✕混濁

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深淵✕混濁

 人は欲望から目を背ける事はできない。  何故ならそれは影であり、常に私達の背後にへばり付きこちらの動向を覗き見ているのだから。 到底逃げ切る事など不可能である。  それでも誰だって自分の醜い姿や汚い部分を他の人に見せたくはない。 綺麗な自分で周りに溶け込む為に、私達は必死で作り笑いを浮かべ周りの空気を読みながら相槌を打つ。  だがそんな何気ない日々の連続で人は求めてしまうのだ。  日常では起こり得ない刺激を。 この心を焦がして止まない快楽を。  そして気付く、自分の中にいるもう一人のこの世の中の常識から外れた常軌を逸した怪物に。  決して逃げられはしない。 その存在に気付いた瞬間から自分が今まで生きてきた世界が形を変えてしまうのだから。  ならばいっその事受け入れてしまおう。  欲望の全てが悪ではない。 欲望が人間を前へと押し進める。 欲望が人間に新たな世界を魅せてくれる。
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