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「じゃあ次、俺いきまーす!」
そう宣言して立ち上がったのは清水先輩だ。主任が「オレの仇を取ってくれー!」とマイクを渡す。
私はからおけねこに話しかけるのをやめた。実は清水先輩が歌うのを私はとても楽しみにしていた。というのも、社内でも清水先輩は歌がうまいと評判だったのだ。「点数もずば抜けてすごいんだから」と女性の先輩が嬉しそうに教えてくれたので、いつか清水先輩の歌を聴きたいと思っていた。
「よし」
先輩はマイクを構えた。その立ち姿がもうかっこいい。
先輩が選んだのはドラマの主題歌にもなったバラードだった。その選曲がもうかっこいい。
そして、曲が始まる。
…………あれ?
思っていたほどではなかった。いや下手というわけではないが、特段上手いわけでもない。
私は不思議に思っているうちに、清水先輩は歌い終えた。
「おんてい15てん! ひょうげんりょく12てん! ろんぐとーん17てん! あんていせい14てん! りずむ13てん! びぶらーとぼーなすとくてん1てん! こうにゅうしゃとくてん16てん! ごうけい88てん!」
「よっしゃー88点!」
「おおお! さすが清水! 仇を取ってくれてありがとう!!」
いやまてまてまて! なに最後の購入者特典って! ぜんぶ平仮名だからって騙されないからね⁉
「うつくしいうたごえにききほれました。なんどでもききたいくらいです。またのごりようおまちしております」
ねこの商売戦略だ! これがねこのやり方か! 社会ってこわい!
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