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 しかし清水先輩の点数が幻想だと気付いたのは私だけだったようで、場はより一層盛り上がった。ここで真実を告げても白けさせるだけだろう。  私はもやもやした気持ちを抑えることができず、ねこにだけ聞こえるように言う。 「私は騙されないからね」 「…………」  ねこは何も言わなかった。都合の悪いことは聞こえなくなるらしい。 「さ、次は部長ですよー!」  清水先輩が大きな声で盛り上げる。それに続いて周りのみんなも盛り上げた。部長は、まあまあ、とまんざらでもなさそうだ。  部長の番で盛り下がるなんてこと、あってはいけない。私も少しは社会がわかってきたつもりだ。  タンバリンもマラカスもないので手拍子で盛り上げる。  そして、ねこも空気を読んでいた。 「おんてい16てん! ひょうげんりょく14てん! ろんぐとーん15てん! あんていせい11てん! りずむ14てん! びぶらーとぼーなすとくてん4てん! こぶしぼーなすとくてん3てん! しゃくりぼーなすとくてん4てん! しゃうとぼーなすとくてん3てん! ひょうげんぼーなすとくてん2てん! いつもおつかれさまですとくてん5てん! ごうけい91てん!」  「おおお91点! 本日最高点だ!!」  めっちゃボーナス得点増えてた。てか最後のいつもお疲れ様です得点ってなに? いやそりゃ部長クラスともなれば平社員には想像もつかないような重責があるんだろうけど。 「おんてい、ひょうげんりょく、ろんぐとーんがひじょうにすぐれており、みみがしあわせになりました。もしかして、ぷろのかたではないですか? さいんください」  もはや採点の感想ではなかったけど「部長のサイン、わたしもほしいー!」と場が最高に盛り上がったので、部署の忘年会としては大成功だった。  これは来年もねこ呼ばれるな。
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