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二人きり
「あらあらぁ、もう行っちゃったわ。必死で可愛いわねぇ。」
そう言いながら夕霧は、可愛いと言った時に沙紺が反応したのを見逃さなかった。
「そういえば、沙紺くんはクールって感じだけれども、朝緋くんは可愛いのねぇ。沙紺くんには可愛い弟が居るから、きっと毎日楽しいんでしょうねぇ。」
夕霧は沙紺の様子を伺いながらそう言ってみる。
すると、沙紺は我慢できなくなったかのように喋り出す。
「そうなんですよ!毎日キュンキュンして退屈しないんです!朝緋のへにゃっとした笑顔を向けられた時にはノックアウトされるかと思いましたよ…はぁ…なんであんなに可愛いんでしょうか……」
早口で朝緋について語り出した沙紺に夕霧は、予想以上に食いついたことに少しびっくりしたが、直ぐに笑顔になって受け答えをする。
「朝緋くんの可愛いって、母性本能をくすぐられる感じなのよねぇ。守ってあげたいって思わせる雰囲気が可愛いって思うんじゃないかしら?」
「ほぅ……確かに男の俺でも母性本能?父性本能?がくすぐられる感じがしますね。生まれたばかりの朝緋も知っていることもあるでしょうけど、なんというか…守ってあげたいのは思います!」
いつの間にか沙紺の警戒も解け、楽しそうに目をキラキラさせながら朝緋のことについて語り尽くす沙紺に、夕霧は終始笑顔で聞いていた。
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