3人が本棚に入れています
本棚に追加
夕霧の部屋に案内される沙紺は、少しドキドキしていた。
女性の部屋に入るのは初めてだったからである。
「し、失礼しますー。」
「どうぞどうぞ〜♡」
妙に嬉しそうな夕霧を横目に、沙紺は部屋の雰囲気(自分の部屋とは真逆の現代っぽさ)に圧倒される。
照明が少し暗いのと、一際目立つ天蓋付きのダブルベッドが妙に艶かしい。
この部屋は俺が入っていいものなのか、と不安になる沙紺に夕霧が話しかける。
「ベッドにでも腰掛けて話しましょ。そんな固くならないで。リラックス、リラックス♪」
沙紺の耳元で囁くように話す夕霧に、沙紺は「からかわないでくださいよ!」と真っ赤になりながら耳を押さえて言う。
ベッドはふかふかで、沙紺が愛用している布団とはまた違った感じだった。
寝っ転がったら気持ちいいだろうな、と思っていると、
「ふふ、寝っ転がってもいいのよ?」
と夕霧が言う。
「な!?俺の心が読めるんですか!?」
「声に出てたわよ♪」
またしても真っ赤になる沙紺だったが、好奇心には勝てずに、初めてのベッドに「失礼します……」と言いながら横になる。
布団よりもずっとふかふかで、いい匂いがする。
最初のコメントを投稿しよう!