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俺が座る席の隣に来るなりパソコンを覗きこんできたかと思えば『なんだよ、全然進んでねーじゃん』なんて余計な一言を言われ、強引に新多の方へ画面を持っていかれた。
言われなくても俺だって仕事に集中したい。
それが出来ないから今こうして悩んでいるんだ。
「然、俺に文句言っても仕方ねーぞ」
こっちの顔なんて一切見ずに
キーボードをカタカタと器用に打ちながら
見透かすような言い草。
「まだ何も言ってないだろ」
「お前と何年の付き合いだと思っているんだよ。
言いたそうに凝視されればわかるって。」
長い付き合いだと
そんなテレパシーまで使えるようになるのだろうか。
『よし、これで完了』と軽やかにEnterキーを押し
パソコンを元に戻しながら新多は俺に言う。
「別に先の事なんて考えたって仕方ねーだろ。
大変なときはお互い支え合えば良いわけだし
ぶつかったら話合えば良い。
お前は深く考えすぎ。
好きなら一緒にいろよ」
他人事みたいに軽く言ってくれるけど
そういうわけにもいかないんだ。
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