事の発端は。

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未だに何がしたかったのかピンとこないし イマイチこの人の考えが読めない私は その行動にも唖然。 そんな私に彼は。 「割と素質があるのに  何もしないなんて勿体ない。  私は結構、貴女を気に入りましたしね。  えっと…」 名前を知ろうとしているのか 首から下げている社員証に目線が行くのがわかり 名がバレないように急いで手で隠したが… 「可愛い名前ですね、由凪さん」 遅かった――― 愕然と立ちすくむ私に笑顔を振り撒きながら 『またあとで』などと意味深な言葉を置いて 彼はまた撮影へと戻っていってしまった。 「な…んなの、あの人」 思わず声に出してしまったけれど 遊ばれたんじゃなかろうかと 複雑な気持ちだけが残る。 その後、何事もなく撮影は無事すべて撮り終えた。 「さすが鳴瀬さん。  素質ある天才は違うな。  良い宣伝になる事、間違いない」 「そう言って頂けて光栄です。  ですがこちらの製品が良質だから  良い撮影が出来たんだと思います」 彼を褒めるウチの社長に対して しっかり”製品の良さ”を褒める。
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