脱・日陰女子。

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脱・日陰女子。

長く働いていた会社を去り 成り行きで彼の会社へとお世話になる事になったのだけど――― 「あの社長  よく今までアレでやってきたな」 帰りの車内 後部座席に座る私達。 隣では窓枠に頬杖ついて外を見ながらボソッと呟く彼、鳴瀬 然さん。 実はあの後 彼の発言が発端となり両社長の深刻な話し合いが行われ 私と彼だけ先に車に乗り込んだ経緯(いきさつ)があった。 「…はぁ」 私は私で 流れていく外の景色を見つめながら 無意識に溜め息を吐いてしまう。 「まだ落ち込んでる?」 隣に座る彼に聞かれてしまい首を横に振った。 「俺は本当  貴女は良いと思うよ」 またも、さらっと言うけれど どうしてそんなに推してくれるのだろう。 「社長の言った言葉にも一理あるので。  せっかく化粧品関係の仕事をしているのに  見た目はこんなですし。  女としての魅力なんてどこへやら」 「そうかな。  まぁ確かに最初見た時は具合が悪いのかと思ったけど  容姿は整っているのがわかったし  磨いたら更に綺麗だと思う」 べた褒めですか。
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