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然さん
さようならーーーーーーー
「昼過ぎの便…か。」
デスクに頬杖をつき
パソコンのマウスをクリックしていても
仕事になんて集中出来ない。
窓の外の青い空に浮かぶ雲を眺めては
そればっか呟いてる俺は、後悔していた。
どうして彼女を止めなかったんだろうって。
行くなって
なぜ言わなかったんだ?
その為に今朝会いに行ったはずなのに。
決意の顔を見ていたら言えなかっただなんて
情けない。
最初に出会ったときに興味を持って
あんなに綺麗に変身するとは想像以上で
いつも頑張っている姿に、惚れたんだ。
俺は、由凪さんが好き。
それは今だって変わらない。
だからこそ、これ以上は傷つけたくなかった。
俺は会社を守らないといけない。
今回の盗作みたいに何かあった時
これからも由凪さんまでも守れる自信がなくて
突き放すしか考えられなかったとか
ただの言い訳に過ぎない。
どうする事が最善の方法だったのか…
「そんな葬式みてーな顔するなら
迎えに行けよな」
頭上から降ってきた新多の声。
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