この手を離さないように…

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追い掛けて 今更何を言えって言うんだよ。 もう、遅い。 「ったく、さっきから辛気臭い顔しやがって。  仕事は今俺が終わらせたんだ。  さっさと行ってこい!」 ”バシッ”っと肩を(はた)く力は思った以上に痛い。 コイツ思いっきりやったな。 肩を摩りながら新多にガンを飛ばしても 本人はニッと笑って気にしていない。 それどころか満足げだ。 「別の仕事があるから俺は戻るわ。  これ見て考え直せ」 手渡されたのは 大きさで言うと漫画の単行本くらいの真っ白な封筒1枚。 宛先や名前は何も書かれていなくて厚みもほとんど感じず テープのりで留められているから中身も見えない。 「何これ。」 「然の元気の源が入っているから  あとでゆっくり眺めればいいさ。  じゃーな」 片手はポケットに突っ込んで 事務所を出て行こうとする新多は 後ろを向いたままもう片手をあげて 『しっかり迎えに行けよな』と捨て台詞を残していく。 勝手な事ばっか言ってくれる。 今の俺には自分の会社で手一杯なのに。 「元気の源って…」 なんだよそれ。
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