この手を離さないように…

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「好きだけでどうにかなる話じゃないのはわかってる。  今さら俺が言った言葉が帳消しになるわけでもない。  正直まだ、両立が出来るかの答えだって見えない。  だけど…自分の気持ちに素直に  貴女を想う心に真っ直ぐになりたいと思ったんだ」 中途半端な曖昧さや誤魔化しなんて微塵もなく この前まであった淀んだ空気みたいなものも一切なくて 然さんの瞳の奥には混じり気ない光と ハッキリとした声質に、強い意思が伝わってくる。 初めて 彼の”心”を聞けた気がする。 「俺はこれからも会社は守っていかないといけない。  だけど、由凪さんも守っていく。  どちらかじゃなくて、どちらも絶対、必ずだ。  その中で、もしまた俺が間違った答えを出したとして  血迷って見失いそうになったら  殴ってでも連れ戻してほしい」 私の知る今までの彼は どちらが年下なのかわからないくらい いつも落ち着いていて大人びていて。 それなのに『好き』って言葉は素直に言ってくれて… こんなに必死にたくさん喋ったところは 初めて見たな。  
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