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僕もそういった類のものに全く興味がないわけではなく、ごく普通の男子高校生並みにスクールライフをエンジョイしているつもりだ。しかし彼女の執念には大抵及ばず、こうして渋々ながら彼女専属のカメラマン業に勤しんでいる。
「お、この写真いいね。可愛く撮れてる。やっぱり私、モデルに向いてるかもね」
ようやくお気に召した一枚が撮れてご満悦の彼女の言葉にツッコミを入れたいのを堪えていると、
「もうこんな時間か。暗くなる前に帰らないとね」
と、これまた誰のせいでこうなったのかとツッコミを入れたくなるセリフを吐き捨て、彼女は下り道へと駆け出した。僕がその背中を追って歩き出すと、彼女はイタズラを思いついた少年のような笑顔でこちらへ戻って来た。
「忘れてた。最後に淳平カメラマンへのご褒美として、ツーショット写真を撮らないとね」
そういうなり、僕の腕にしがみついた彼女は、再びスマホを取り出し、さっきまで僕の目の前に居続けたあの見飽きたピンク色をバックにしてシャッターを切った。
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