1話 別れの予感

3/6
前へ
/158ページ
次へ
側から見たらカップルのように見えるかもしれないが、僕らはそういった関係ではない。もちろん僕はそうなりたいと思ってはいるが、10年以上の付き合いになる彼女に決定的な一言を言えずにいる。 僕と彼女は、特別家が近いわけではないが、小中高と同じ道を進んでいった腐れ縁である。 クラスが一緒になることが多かったこともあり自然と仲良くなっていった僕らは、2人で遊ぶことも増え、自然と仲良くなり今の関係を構築した。 彼女はというと、僕に対してどういった感情を持っているのかわからないことが多く、中学時代に告白されたクラスメイトと付き合った時には、僕に死ぬほど自慢をしてきたが、1ヶ月を持たずして破局した。 その際に、別に好きな人がいるからと彼女の方から振ったらしいが、その「好きな人」が僕のことなのかはわからなかった。 桜が見える丘を下り終わると、辺りはすっかり暗くなってしまっていた。 「じゃあ、また明日ね。」 彼女はそう言うと、僕の家とは反対の方向へと歩き出した。僕の家と彼女の家はこの丘を挟んで反対側にある。 僕も一旦は自分の家の方向へと歩みを進めた。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加