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◆◆◆◆◆ 「真木ー。トキ子さんのデモの歩行器来たんだけどよ」 達雄が指示書を机に置きながら言った。 「この型式、『結の湖』から卸しで、引き上げたやつを、すぐ消毒メンテして中古販売したいんだと。悪いけど今日中行けるか?」   「りょーかい」 言いながらトキ子さんのファイルを漁る。 「あ、やべ。今日デイサービスの日だ。夕方行くしかねーな」 作業書の束を見ながら言う。 「中嶋さんのマットレス、エアマットに入れ替えしてからそのまま回るー。九石、2件の消毒指示書出しておいてー」 言いながら椅子をスライドさせて、窓際に移動する。 「…水曜日なのになー」 独り言のように小さい声でつぶやく。 「なんか予定でもあるんですか」 「見たい番組があんだよー」 窓の結露にアンマンマンを描きながら言った。 「アンマンマンは木曜日ですよ」 「何でそんなこと知ってんだ、お前」 真木が笑う。 ーー真木こそ、テレビにかじりついて何かを見るタイプじゃない。 予定でもあるのか? 誰と? 浮かんでくる嫉妬心を振り払うように、九石は白紙の指示書を埋めていった。
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