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◆◆◆◆◆ 病院の待合室には九石たちの他に、ケアマネージャーの津川、訪問看護士が、それぞれ椅子にかけていた。 津川が配った缶コーヒーを皆黙って口に運ぶ。 と、手術着を身につけた医者と、30そこそこの若い男女が長い廊下の端から歩いてきた。 「……お祖母ちゃん、助かりました!」 女性の方が、大きい目いっぱいに涙を溜めて、津川に言う。 その姿を見ながら、医者は一礼して、医局に去っていった。 「また心筋梗塞ですって。倒れて間もなくケアハートさんが見つけて、救急車呼んでくれたおかげで助かったんです。 的確な心肺蘇生で、脳にダメージもほとんどないって」 孫娘が真木と九石の手を交互に握る。 「命の恩人です!本当にありがとうございました。ぜひ後日お礼をさせてください」 後ろに立っていた、婚約者と思われるバンドでもやっていそうな派手な男も、見た目に反して神妙な顔で頷く。 真木が少し掠れた声で微笑んだ。 「お礼はトキ子さんの漬け物でいいっす。それよりトキ子さんのとこについててあげてください。俺たちはこれで失礼するんで」 九石の腕をつかんで一緒に立ち上がらせる。 「あの!ありがとうございました!」 孫が一礼する。 真木がその顔を見て、ふっと息をはく。 「……かわいい花嫁になるだろうな」 「え?」 「トキ子さん、あなたの結婚式出るの楽しみだって。俺が折った肋骨にサポーターは必要だろうけど、連れてってやってよ」 「……はい!」 涙と笑顔でぐちゃぐちゃの顔で頷くのを見て、「はは」と真木もいつもの笑顔に戻った。
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