Children

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私には父がいる。 彼は…私を助けてくれた恩人のパートナーにあたる人物だ。 [家族を守ってほしい]という恩人の頼みを聞き、教えられた駐車場のもとへ足を運んだ。 私を見て驚いた彼の顔は、今でも忘れられない。 変わった出会い方をした私達は順調に進まない事もあったが、今は本当の親子になれたことを嬉しく思う。 □ [迷子のご案内。青い帽子を被った6歳の…。] 「……初めての迷子。」 父と一緒に買い物に来たが、割引商品や目玉商品に夢中になっていたら迷子になってしまった。 店内を何周もしているが、すれ違っているのか全く見つからない。休日ということもあり、広い店内は人々で溢れかえっている。 それに先程から迷子アナウンスが流れているので、他にも私同様が迷子者が続出しているようだ。 たしかに無闇に探し回るより、アナウンスを掛けてもらった方が手取り早そうだ。 心配させてしまっているだろうな。辛い思いをさせてしまっているかもしれない。 待てよ…変質者に誘拐されたかもしれない。 父は身内贔屓しているかもしれないが、とても端正な顔立ちをした綺麗な人だ。 よからぬ奴に絡まれているかもしれない。 どんどん不安が募っていき、よくない方向へ考えてしまう。額に汗が滲んできた。 急いでレジ台に向かうと、丁度手の空いてそうな店員がいたので話しかけてみた。 『すいません、お伺いしてもよろしいでしょうか?』 「はい!…ん?どうしたのかな?」 『インフォメーションみたいなところはありますか?』 「え、えーと、迷子でいいのかな?」 『はい、業務中申し訳ありません。どうやら私、迷子になったみたいでアナウンス掛けてもらうことは可能ですか?』 この店は初めて来たので、アナウンスを掛けてもらえる場所が分からなかった。 出入り口と消火器の配置場所は確認したが、インフォメーションまでは把握していなかった。 『もしくは、迷子センターみたいな場所に…。』 「すいません!私の娘です!お騒がせてしてしまい申し訳ありません!」 父の切羽詰まった声が聞こえた。 声の方を見てみると、涙目の父が視界に入った。 「あっ!この子のお父さんですか!?良かったね!来てくれてたよ!」 私は店員に礼を告げて父の元へ駆けた。 親子2人で礼を告げると、店員も安心したような顔で見送ってくれた。 いい店員さんだ…宝くじが当たる運をつけておこう。 「どこ行ってたんだ?怪我はしてない?平気か?」 『大丈夫。お父さん、ごめんね。』 私を見つめてくる表情は、泣きそうな表情だった。 辛い思いをさせて申し訳なく思う。 …見たところ、誰かに触られた形跡はなさそうだな。 「父さんも目を離してごめん。気になるものがあったら一緒に行くから教えて。お互い側を離れないようにしよう。」 『うん。』 「ヨーンが無事で良かった。よし、手を繋ごう。」 父の差し出してきた手を応えるように握った。あなたも無事で本当によかった。 ■ 「5億6000万ドル…!!!?」 この若者は、スーパーでのアルバイト帰りに気まぐれで宝くじをやった。 そして、そのくじが最高額当選したのだ。 あまりの嬉しさに固まってしまった若者は、翌日勤めていたスーパーを辞めた。 夢だった世界一周の旅を始めた彼は輝いていた。
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