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「あの、オーダーAIを買いたくて」
「でしたら、こちらへどうぞ」
厳重に閉ざされた扉の奥に案内される。近未来的な真っ白な廊下を進むと、コンビニくらいの広さの部屋に出た。
床まで真っ白で明るい空間は、靴のサイズまで測られるのではないかという妙な不安にかられる。
部屋の中央には金属製のベッド置いてあり、壁は手や足、目や口など、人体の様々なパーツのイラストが描かれたパネルで埋め尽くされている。
「ここでAIの基礎を作っていきます。パーツはあちらに掛けて、こちらのタブレットでお選びください」
女性は隅においてあるテーブルセットを手で示すと、美晴にタブレットをで渡した。
「紅茶と珈琲と緑茶がございますが、何がよろしいでしょうか?」
「えっと、紅茶でお願いします。あと、AIの容姿なんですけど、自分と同じ姿って作れますか?」
「はい、可能ですよ。性格はどうなさいますか?」
てっきり驚かれると思ったが、すんなり話が進み、逆にこっちが驚かされる。美晴がどう説明しようか考えていると、タブレットを返すように言われた。
言われたとおりに返すと女性はタブレットを操作し、再び美晴に手渡した。
「こちらで性格などをカスタマイズできます。では、少々お待ちください」
女性が一礼して部屋から出ていくと、美晴はテーブルセットに座って性格やスキルパラメーターをカスタマイズしていく。
性格は優しさ6、ストイック2にし、スキルパラメーターは美晴なりに考えたエリート社会人にしていく。本体価格と合わせ、300万円といったところか。
「おまたせしました、紅茶です」
美晴は紅茶を置く女性にタブレットを返した。女性はうなずきながら確認すると、タブレットを壁に押し込む。驚いて壁をよく見ると、そこは横長の穴が空いていた。
パソコンの起動音の様な音が部屋全体から響き、天井に収納していたアームが動き出す。頭、手足、胴体のパネルが開き、それぞれのパーツが金属製のベッドに置かれる。
ベッドからは天井アームよりひと回り小さなアームが出現し、パーツを組み立てていく。
「うわぁ、すごい……」
「お客様」
AIが組み立てられていく光景に圧巻されていると、女性に声をかけられる。彼女はいつの間にか美晴の向かいに座っており、違うタブレットをテーブルの上に置いていた。
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