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「あ、ねえ、あんたって、探偵ごっこしてる子だよね」
放課後の廊下で呼びかけられて、英カレンは振り返った。
顔見知りではないけれど、上履きの色が同じ学年なので、どこかで見た気がしなくもない。
それより何より、探偵として呼ばれたからには、素通りできなかった。
「ええ。わたくし、恋愛探偵をやっております。何か、お困りごとが、おありですか?」
すると、声をかけてきた子と似たような雰囲気の子が加わってきた。
「そうなの、困りごと。恋愛ごとじゃないけど、謎なの謎」
この子なんだけどさ、と背中を押されて出てきたこちらは、カレンも知っている人だった。
「芙己さん、でしたよね」
「はい。あの、委員会で一緒だった、英さん……」
「ですわ」
戸惑っている芙己に笑いかけると、少しだけ雰囲気が和らいだ気がした。
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