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緑あふれる公園の一角に小さな時計塔がある。桃花はその傍らのベンチに座ると、鞄と賞状筒を傍らに置く。冴えわたる青空から、春を謳歌するヒバリの囀りが降ってくる。
しばらくして一人の男子生徒が駆けてきた。佐倉だ、桃花はほっとして軽く手を振った。
「待たせて悪かった、片付けが遅れて」
佐倉は荷物をベンチに降ろすと、桃花の隣に腰かけた。
辞書を擬人化したような優等生だが、黒縁眼鏡から覗く眼差しは意外と柔和だ。
男子生徒には誰からもライバル視されるためか、図書室で一人きりで本を読む姿をよく見かけた。中学校の3年間で親しかったのは、図書委員の桃花だけだったのかもしれない。
「佐倉君、ありがとう。西脇君が謝ってくれたの」
まず、先程の話を桃花は報告した。
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