供儀

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 七日の間の潔斎を終えた今日、おれは清められた素裸のままで滝つぼへと落とされた。             万に一つでも暴れて粗相がないようにと予め目隠しをされ、後ろ手に縛められている。  そうして水へと沈められたというのにもかかわらず、息苦しさはまるでなかった。  立ち泳ぎをしつつ、しばし待つ。 滝つぼの、文字通り底知れぬ下の方から神使が姿を現した。 気配で分かった――。  神使の姿は村人たちには全く伝えられていない。 供儀が目隠しをされている以前に、地上へと村へと帰って来ることはないからだった。 供儀は捧げもの、主へとありったけの精を生を差し出す。 神使はその名代、――取り次ぎ役を担っていた。  おれは立ち泳ぎを止めた。 これがただの水の中だったのならば、やはりおれの体はただ沈んでいくだけだっただろう。 しかし、足先からフワリと浮いた。 仰向けに横たわったような感じがしたが、見えないので分からない。  おれは彼の名前を呼んだ。 かつては何度もなんども数え切れないほどに呼び、彼が地上に村にいなくなってからは一度も口にしていないその名を――。
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