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彼の口だった。
すっぽりとおれのを全て収め切り、吸い出すようにして圧を強めたり弱めたりする。
まるで、おれを飲み下そうとしているかの様だった。
あぁ・・・・・・そうだった。
彼はもう、神使だ。
竜門の滝の主の名代だ――。
彼が求めているのは、かつてのようにおれではない。
未婚の男の精だ。
そう思っても気が付いてもなお、おれは少しも悲しくならなかった。
このまま何時までも供儀に選ばれ続けないよりは、いい。
彼に届くか分からないままに徒に、精を滝つぼへと垂らし続けるよりはずうっといい。
手を目を縛められているおれが出来ることは彼を想い、彼にこの身の全てを委ねることだけだった。
今や、神使である彼の口自体が滝つぼそのものだった。
底無しの淵の奥へと、主の御座へと引っ立てられて行くかのような心持ちだった。
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