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「千葉さんは何が好き?」
「何でも好き」
「一番好きなことは?」
一番? 一番なんてないよ。
友達と遊ぶのも楽しいし、家族でテレビを見ている時も、口悪くても慕ってくれる秋のことも好きだよ。
絵を描くのだって得意だよ。絵を描いて弥生が喜んでくれるのも嬉しい。
「どれも同じくらい好き」
「ふぅん。あ、次はあれ!」
私の答えにそれ以上突っ込んでくることはなく、シューティングゲームを指さして駆け寄って行ってしまった。
バンバン敵を倒していく彼を後ろで眺めていた。
こんなに上手いのに、笑っているのに、本当に楽しくないのか?
「やった! 見て見て、新記録!」
私を振り返った彼はほんのり頬が上気している。その顔に私の心臓がトクンと鳴った。
不意打ち! そう、不意打ちのせいね!
そう思って制服の上から心臓を抑える。見下ろすと、少しだけ蕾が緩んでいた。
は? は? わけわかんない!
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