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「千葉さん? どうかした?」 「っ!」 顔を覗き込まれ、私は声が出なかった。いつもとは逆に声を息と一緒に呑み込んでしまう。 「千葉さん? もしかして熱?」 「ち、違うから!」 額に伸びてきた手を反射的に叩き落とす。 「あ、ごめ……」 「いいよ。気にしてない。それより本当に大丈夫?」 「大丈夫! 今日はどこに行くの?」 私はどうしてしまったんだろう? どうして当たり前のように行き先を聞いているんだろう? どうしてこんなに心臓が煩いんだろう? 「その前に、少しだけいいかな」 「何?」 和泉君の耳が赤い。今日のお昼の去り際みたいに。
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