0人が本棚に入れています
本棚に追加
「千葉さん? どうかした?」
「っ!」
顔を覗き込まれ、私は声が出なかった。いつもとは逆に声を息と一緒に呑み込んでしまう。
「千葉さん? もしかして熱?」
「ち、違うから!」
額に伸びてきた手を反射的に叩き落とす。
「あ、ごめ……」
「いいよ。気にしてない。それより本当に大丈夫?」
「大丈夫! 今日はどこに行くの?」
私はどうしてしまったんだろう?
どうして当たり前のように行き先を聞いているんだろう?
どうしてこんなに心臓が煩いんだろう?
「その前に、少しだけいいかな」
「何?」
和泉君の耳が赤い。今日のお昼の去り際みたいに。
最初のコメントを投稿しよう!