ーー

20/22
前へ
/22ページ
次へ
「話があるんだ」 「ナンデショウカ」 やっぱりお昼のことを怒っているのだろうかと身構える。 私の片言に彼は少しだけ肩の力を抜いた。 「お昼の質問。おれに訊いたでしょ? 心の底から好きなことできたのかって」 訊きましたね。やっぱり怒らせてた? 「その質問の答えをします」 急に畏まった調子で言葉を続けた。 彼の胸を見ると、蕾がかなり開きかけている。 「うん」 小さく頷くと、彼は口を開いて息を吸った。 「おれ、千葉さんが好きだ! 本気で、心の底から好きだ!」 その言葉を口にした瞬間、和泉君の心臓のキャンディタフトが一瞬で花開いた。 パッと一気に咲き誇ったその花は、活き活きと輝いている。 ーー花言葉は『心を惹きつける』だよ! 弥生の言葉が脳裏を過った。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加