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「今まで女の子と遊んでたのとも、友達とゲームしてたのとも違う。本当に、千葉さんといるときは楽しくて、もっと一緒にいたくなって。初めて思ったんだ。千葉さんの事が本気で好きだって! 有栖って名前で呼びたいって!」
耳だけじゃなくて顔まで赤い。今まで見たことのない和泉君の表情。
私にまでその赤がうつった。だって、顔が熱いもの。
私は今、和泉君のその花に、彼自身に、心を惹きつけられている。
好きだ。私も、彼のことが好きだ。
そう思った瞬間に、私の心臓にある蕾が全て花開いた。
大嫌いな雨が気にならないほどに、私は一心に好きだと思った。
やっぱり、私も心の底から好きと言えるものがなかったんだ。
薄々気付いてはいた。
穂の党のお母さんが出て行ってから、何をしてもそこそこ楽しい。ただそれだけになった。そこそこなだけだった。
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