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「いいよ」
「え?」
「有栖って、呼んでもいいよ」
「有栖……。有栖、有栖!」
「う、煩いよバカ和泉君!」
「有栖! 好きだ!」
「私も、和泉君が……す、好き……だよ」
全然まともに言えてない。めっちゃ噛んだし声小さいし。
それでも彼には届いたらしい。
「有栖~!」
「うっわ! それはまだ早い!」
抱きつこうとした和泉君から逃げる。恋愛初心者なんだよ。そんな馴れ馴れしくするな!
笑顔で追いかけてくる和泉君から逃げながら、私は自分と彼の心臓で揺れているキャンディタフトを見た。
今なら言える。
和泉君のことが一番好きだ!
心臓の花が見えたのは、これが最後になった。
完
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