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ーー
好きなことをしている時、好きなことを持っている人、好きなことを考えている時。”こと”か”人”かは分からないけれど、そう言うものを考えているときにその花が咲くんだと思う。
授業は皆嫌いなんだね……。大体の人は蕾だった。
逆に花が開いている人を見ると、落書きをしているとか、隠れてコソコソゲームをしているとか。好きなことを考えていたり、していたり。
花が見えるようになって3日。私の花は一度も開かない。
因みに和泉君のも開かない。笑顔に見えるのになぁ。
私は和泉君の観察をしてその3日間を過ごしていた。
時々目が合いそうになってフイッと顔を背ける。また彼を追いかけて目が合いそうになると顔を背ける。
何だよこれ。まるで私が好きな人を目で追っている乙女みたいじゃないか。
「ないない!」
「何がないの?」
「うっわ!」
長い昼休みの独り言に反応され、私は勢いよく椅子から立ち上がった。
ガタンッと音が鳴り、昼休みの賑やかな教室が一瞬で静かになる。
「……す、すみません」
注目を集めてしまったことに気が付いた私は、ペコリと頭を下げて席に着く。すぐに教室内にざわめきが戻った。
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