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「ねぇ、何で?」
心の中でどれだけ叫ぼうが和泉君に届くわけがなく。
「違う、ですよ。たまたま、時計の方向とか、時間割の方向とかにいるだけ」
我ながら強引な言い訳だなと思う。
「あはは! 嘘下手だね」
笑われたし誤魔化せてもいない。
恥ずかしくなって視線を落とす。彼の心臓にある蕾を見てから、フイッと目を逸らした。
「本当はどうしておれを見てたの?」
言わなきゃダメかなぁ。でも言っても信じてもらえる話ではないと思うしなぁ。秋にも脳内花畑って言われてるしなぁ……。
「いやぁ……それは……ちょっと」
「ふぅん。教えてくれないの?」
なんなの? そうやってあざとく可愛くして女を落としてんの? 私は引っかからないからな!
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