14人が本棚に入れています
本棚に追加
『では、今日の占いです!
今日の運勢の1位はおひつじ座のアナタ。
気になる人と急接近出来るかも。
ラッキーアイテムは………』
点けっぱなしのテレビからは今日も朝の情報番組が
流れてる。
「………朝か。」
正直内容はどうでもいい。
何座が1位になろうが、どこかで殺人事件が起ころうが、どっかの国でデモが起ころうが。
全部全部俺には関係ないことだ。
ベッドに寝転びながらそれをBGMにしていた。
今の俺にとってはこのテレビの音声だけが、時間を
知る手掛かりだ。
窓もカーテンも締め切った部屋。
電気は点ける必要がない。
スマホは電源を落として、ずっとテーブルに放置
したままだ。
だがそんなことはもう、どうでもよかった。
再び目を閉じる。
相変わらずテレビは世界の情勢を伝えていた。
そんなの俺には関係ない。
───俺の時間はもうとっくに止まってしまったの
だから。
その時ガチャリとドアが開かれる音がして、すぐに誰かの足音が近づいてきた。
騒がしい、まるで騒音みたいな足音だ。
「お兄ちゃん」
布団に包まる俺に、妹は遠慮なしに声をかけて
くる。
厄介な相手が来た。
最初のコメントを投稿しよう!