いつも言われる言葉

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いつも言われる言葉

1年半ほど付き合った交際相手から 「子供は3人は欲しいな」 という言葉をもらったり、 「結婚しよう」といわれたり、 彼のご両親に挨拶に行ったりもした。 けれど結局、 言われる言葉は似たような言葉なんだ。 カフェで通話してもいい場所があり、スマホに出てみた。 『別れよう――なんか違うんだよね』 ぷつりと切れた電話。 そしてまたかと思う。 恋愛はその繰り返し。 今回は彼氏と結婚までできると思っていた。 電話一本で破綻してしまうこともあるんだ。 「恋とか、結婚ってしんどいな」 カフェで手帳を眺めてみて思う。 「来週の大安の日は 式場回ろうって言っていたのに」 手帳の予定を修正テープで白紙に戻す。 カフェラテを飲み干して仕事に戻る。 仕事の帰り道、書店に寄った。 すると高校生からの親友、由美に会った。 その旦那さんも遠くに見える。 「久しぶりだね」 幸せそうで、笑顔が輝いている。 今度、子供が生まれるそうだ。 「出産の準備の本とブロガーさんの本を見に来たんだ。 あれがあれば心強いかなって」 そう話す友人の顔はもう母親の顔をしていた。 「元気な子産んでよね」 送ったエールが自分を傷つける。 嫉妬なのか、ひとりでいる心細さなのか。 もやもやする。 私だって相手くらいすぐに見つかるとか 子育てはむりむりとか、仕事に生きるからいいもんみたいな 自分に言い訳してみたりもする。 自宅に帰って落ち込む毎日。 今まで何人にご祝儀送ってきたんだろう。 疎遠になってしまった友人もいるし。 「結婚はしたかったんだけどなぁ」 元カレに言われた言葉があたまから離れない。 『君は思いやりがないね』 どうやら私は 何かが欠落しているらしいが、 どこがどういけなかったのかまるで心当たりがない。 よほど相手に我慢させていたんだろうな。 「うまくいっていたと思ってたんだけど、 しんどいな」 歴代元カレの最後の言葉を思い出してみても 落ち込むことしかない。 強いから大丈夫でしょ。 一人で生きていけるよね。 などと言われた。 確かに人よりは強いかもしれない。 しかしながら、一人で生きていけるわけではない。 昨年夏に帰省した時には母親から突っ込まれた。 「いつまで一人でいるつもりなの?」 相手いないのだから仕方なくない?とは思う。 家を継げとか言われることがないのが救いではある。 一人は嫌だ。 でも好きな人と歩めない人生も嫌だ。 「お見合いでもしちゃいなさい」 母親の言葉がふと思い浮かんだ。 昭和のころのお見合いは 家柄や人のつながりが重視されたらしい。 時は流れ、今は令和。 最近の出会い方はマッチングサイトやアプリ、 結婚相談所だ。 アプリでは相手の本気度合いがわからない。 結婚相談所では契約料がかさむ。 私にはそんなに金銭的に余裕はない。 「遊びと結婚メインの人の区別なんてつかないよ」
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